テーマ 86 管理職者の的確な進捗管理が部下の
“モチベーション”、“仕事の生産性”を高める
■管理職者として行うべき進捗管理の重要性を理解する
ハーバード・ビジネス・スクール 教授のテレサ・M・アマビール氏と
スティーブン・J・クレイマー リサーチャー氏の
論文に「インナーワークライフの質を高める
「進捗の法則」」という論文があります。
インナーワークライフとは、仕事中に人として感じる
「感情」、「モチベーション」、「認識」
の相互作用のことです。
この論文の中で調査研究の結果として下記のような記述があります。
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・仕事中に「感情」「モチベーション」「認識」を
高める可能性があるすべての要素のうち、
最も重要なのは「有意義な仕事が進捗する」こと。
・そして人々は、そのような進捗を感じる頻度が
増えれば増えるほど、創造的な仕事の生産性を
長期的に高めやすくなる。
・日々の進捗(小さな成功でも構わない)は、
人々の感じ方や行動を大きく変えることができる。
・仕事を支援する行為や激励の言葉が仕事の進捗を推進する。
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また、「マネージャーにとって意外な事実」として
下記のような記述もあります。
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世界数十社のさまざまな職位のマネージャー696人への質問
質問の内容
社員のモチベーションや感情に影響を与えうるマネジメント手法
@仕事の進捗に対する支援
A優れた仕事に対する評価
Bインセンティブ
C対人関係の支援
D明確な目標
進捗への支援とアンケートに回答した
マネージャーは36人 5%しかいない。
回答者の大多数は進捗への支援をモチベーションの
誘因としては最下位、
感情への影響要因としては、3位に位置付けた。
モチベーションと満足感を高める最重要の
誘因としては選ばれたのは、
「優れた仕事に対する評価」(公的な評価、私的な評価を問わない)
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実務的には、部下の方にとっては、
ただ、やっておけといった押し付けられた仕事ではなく、
上司から説明され充分納得した仕事や
上司との相談承認のもと自ら設定した、
自分にとって有意義と感じられる仕事が
進捗した時に部下の方のモチベーションは高まり、
仕事の生産性も上がるということになります。
■管理職者として行うべき進捗管理の実務内容
部下に仕事を与え「PLAN」、
与えた仕事を部下が終了した段階で、
その仕事の内容をチェック「CHECK」し、
やり直しの指示を出すだけで、
管理職者としてのPDCAを行っていると
思っている管理者の方が多くいらっしゃいます。
上記のように、「PLAN」と「CHECK」の間で、
部下の仕事の進捗状況の把握や
部下のモチベーションの維持・向上、
部下の職務能力向上のための指導など、
管理職者として、本来、行うべき、
進捗管理「DO」の業務を全く行っていない、
行わなければならないこととして、
気づいていない管理職の方を数多く見受けます。
現実的には、部下を放置している状況ともいえます。
管理職者として行うべき、
進捗管理「DO」を意識的に行うことが、
仕事の品質の向上、納期遅れの防止、
部下育成のために、決定的に重要です。
管理職者として行うべき、
進捗管理「DO」がきちんとできると、
CHECKの段階で、改善すべき業務個所や
今後の部下の育成内容も明確になり、
「ACTION」仕事の改善も進みます。
管理職者として行うべき進捗管理の実務内容は、
下記のような事項となります。
1.進捗管理の実行体制を整備する
・部署内のコミュニケーションの頻度と日時を決める。
・コミュニケーションの内容を計画し、実行する。
2.課題に対応する
・常に会社全体のメリットを踏まえた上で、
適確な判断を行い、目標達成上起きる課題に確実に対応する。
3.人と仕事のマネジメントを実践する
・「いい仕事がしたい」、「仕事を通して成長したい」
という部下の意欲を仕事に結びつけ、
部署の目標を達成していくための、
人と仕事のマネジメントを実践する。
4.仕事の改善と新しいビジネスチャンスを発見する
・目標達成上起きる課題への対応を考える中で、
仕事の改善や新しいビジネスチャンスを発見していく。
管理職者の方は、管理職者として行うべき進捗管理の内容と
その重要性をよく認識し、実践することが必要です。
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